あなたは、こう思っているかもしれません。
「子どもを育てたことがない自分たちに、里親など務まるのだろうか」と。
その問いを持つこと自体、あなたがすでに、真剣にこの子たちのことを考えている証です。
今、この国に4万2千人の子どもたちがいます
親のもとで暮らすことができない子どもたちが、今この瞬間も、4万2千人います。そのうち里親家庭で育つことができているのは、わずか2割にすぎません。
彼らの多くは、愛されることを信じられなくなっています。裏切られ、引き離され、「自分は必要とされていない」と感じながら育ってきた子どもたちです。
そのような子どもたちが最初に必要とするのは、特別な技術でも、子育ての経験でもありません。「あなたのことを、ただ見ている」という大人の存在です。
子育て未経験は、弱さではありません
子育てをしたことがないからこそ、できることがあります。
子育て経験のある方は、知らず知らずのうちに「基準」を持っています。
「うちの子はこの年齢でこれができた」という記憶が、ときに無意識の比較になることがあります。
しかし、あなたにはその基準がない。目の前の子どもだけを見ることができる。
その子のペースで、その子だけの成長を、まっさらに喜ぶことができるのです。
これは、技術では得られないものです。
経験がないからこそ、「この子はどうすれば安心するだろう」と丁寧に考えます。
答えを知っているふりをせず、子どもと一緒に模索することができます。
傷ついた子どもたちは、そういう大人を——驚くほど、ちゃんと感じ取ります。
他にお子さんがいないということは、あなたたち夫婦の時間も、眼差しも、愛情も、その子一人に注がれるということです。
「自分のためだけの場所がある」という感覚が、長く傷ついてきた子どもの心を、少しずつほぐしていきます。
そして、50年以上を生きてきたあなたには、喪失を知っています。
大切な人を見送り、思い通りにならない現実と向き合い、それでも生きてきた。
その経験が、何度も喪失を繰り返してきた子どもたちの傍らに立つとき、静かな力になります。
ある里親のお方が、こう話してくださいました
「子どもがいなかったから、余計なものが何もなかったんだと思います。この子のことだけを、ずっと見ていられた。それが良かったって、後から気づきました。」
この言葉を、私はとても大切にしています。
子育ての経験がないことは、ハンデではありませんでした。それは、その子だけのためにある場所を作れる、ということだったのです。
■ 最初の一歩は、ただ「知る」ことから
里親にも、様々な関わり方があります。週末だけ子どもを預かる形、短期間だけ受け入れる形。
いきなり大きな決断をする必要は、どこにもありません。
まずは話を聞いてみてください。義務も費用も一切ありません。
「向いているかどうか」は、動いてみてから考えれば十分です。
あなたが動いてくださるだけで、一人の子どもの未来が変わるかもしれない。私は、そう信じています。
子育て経験がない、でも人生経験はある。
50代のあなたに、今、子どもたちは待っています。
コメント
言の葉を届けるには入隊するか里に入る必要があります。