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里親解説#1-5 相談は、家族の理解を得てからするものではなく、理解を得るための材料を集めに行く場所でもあります

「相談に行く」という言葉には、不思議と重さがあります。

相談に行くということは、何かを決意した人がすることだ。

ある程度の覚悟を持って、整った状態で臨むべきことだ。

そういう感覚が、どこかにあるかもしれません。

でも現場の支援者たちに言わせれば、その感覚はずいぶん違います。

窓口を訪れる人の多くは、答えを持っていません。

「特別養子縁組か里親か、まだわからない」「本当に自分にできるのか、自信がない」「家族にまだ話していない」「ただ話を聞いてみたかっただけ」。

そういう状態で来る人の方が、むしろ普通です。

整っていなくていいのです。

決まっていなくていいのです。

「気になっている」というだけで、窓口を訪れる理由としては十分です。

最初の相談は、何かを決める場ではありません。

制度の説明を聞いて、自分の状況を話して、疑問があれば質問して、また考える。

ただそれだけのことです。

相談したからといって、登録しなければならないわけではありません。

話を聞いた上で、やっぱり今は違うと思えば、そう伝えればいい。

現場の支援者たちは、そういう判断も含めて、その人の選択を尊重します。

一歩踏み出すことと、すべてを決めることは、別のことです。

「家族の理解が得られていないから、まだ相談に行けない」という方がいます。

でも実際には、相談に行った経験が、家族との対話のきっかけになることがあります。

現場で聞いた話を持ち帰って、「こういう制度があって、こういう支援があって、自分はこんなふうに関わりたいと思っている」と具体的に伝えられるようになる。

漠然とした「子どもを迎えたい」という言葉より、具体的な情報を持った言葉の方が、家族の心に届くことがあります。

相談は、家族の理解を得てからするものではなく、理解を得るための材料を集めに行く場所でもあります。

「まだ調べ足りない気がして、もう少し情報を集めてから行こうと思っている」という方もいます。

でも、インターネットで集められる情報には限界があります。

制度の概要は調べられても、自分の状況に合った具体的な話は、実際に話してみないとわかりません。

「自分の年齢では難しいか」「独身でも可能か」「今の仕事のリズムで迎えられるか」。

そういった個別の疑問への答えは、窓口で話すことで初めて見えてきます。

調べ続けることと、話しに行くことは、どちらが先でも構いません。

ただ、話しに行くことで初めてわかることが、確かにあります。

この記事を通じて、特別養子縁組と里親制度を、現場の視点から眺めてきました。

制度の名前より先に現場がある。

現場は両方をセットで案内する。

登録の選択は出発点であって終着点ではない。

支援者はその人のペースで一緒に考える。

そのすべての話は、ひとつのことに集約されます。

あなたが今持っている気持ちを、一人で抱えていなくていいということです。

「子どもと関わりたい」という気持ちを持って、ここまで読んでくれた方がいるとしたら、その気持ちを話せる場所が、すでに存在しています。

答えが出ていなくても、覚悟が固まっていなくても、その場所の扉は開いています。

最初の一歩は、思っているより小さい。

ただ、扉を開けるだけでいいのです。


隊士 お館様管理者

藤の里における鬼倒隊を統率している者。私が初めて鬼の存在を知ったのは、ボランティアの場でした。 里親制度への無知と誤解という鬼が、日本中に蔓延していること。そのせいで、家庭で暮らせずにいる子どもたちがいること。里親になりたくても、なれずにいる人たちがいること。 その現実が、忘れられませんでした。 それからも何度もボランティアを重ねるたびに、鬼の大きさを思い知らされました。 私自身は里親経験者ではありません。 剣を持って戦える立場にはない。 だからこそ、実際に戦ってきた方々の記録を集め、次の誰かへ届ける場所を作ることが、私にできる戦いだと思いました。 藤の里は、その使命のために生まれました。 あなたの戦いの記録を、ここに刻んでください。 その呼吸を、次の世代へつないでいきましょう。

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