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里親解説#1-3 実際に経験を積む中で、自分と子どもにとって何が大切かが見えてくる

話を聞いて、研修を受けて、いよいよ登録という段階になったとき、ひとつの選択が求められます。

特別養子縁組か、里親か。

児童相談所への登録の際には、どちらの制度を希望するかを選択することになります。

両方を同時に案内されてきた経緯があるだけに、「ここで決めなければいけないのか」と感じる方もいるでしょう。

準備が整ったと思っていた気持ちが、この選択の前で少し揺らぐことがあります。

ただ、この選択は、思っているほど固定的なものではありません。

登録の時点でどちらを選んだとしても、その後の関わりの中で気持ちや状況が変化することはあります。

特別養子縁組として登録した方が、里親制度に切り替えるケースもあります。

最初の選択が、その先の全てを決めるわけではないのです。

現場の支援者たちも、そのことをよく知っています。

だから登録の場面でも、「この選択が絶対的なものではないこと」を丁寧に伝えながら、一緒に考えていくスタンスをとります。

では、登録のときに何を基準に選ぶのか。

ひとつの考え方は、「子どもとどんな関係を築きたいか」という問いに立ち返ることです。

法的な親子関係を結び、戸籍上も親子として生涯をともにしたいという気持ちが強ければ、特別養子縁組という選択が自然な形になります。

一方、法的な親子関係にこだわらず、子どもが必要としている時間に寄り添い、家庭という場所を提供したいという気持ちが強ければ、里親という選択が合っているかもしれません。

どちらが正しいということはありません。

どちらの気持ちも、子どもへの真剣な思いから来ています。

もうひとつの考え方は、自分の状況を正直に見ることです。

年齢、婚姻の状況、仕事や生活のリズム、家族の理解。

特別養子縁組には一定の条件があり、その条件を満たしているかどうかは、選択の現実的な根拠になります。

「気持ちはあるけれど条件が難しい」という場合に、里親という選択肢が自分の状況に合っているとわかることもあります。

これは妥協ではありません。

自分の状況と制度の性質が合っているかどうかを見極めることは、子どもと長く誠実に向き合うためにも、大切なことです。

登録後に気持ちが変化することについて、もう少し話しておきます。

特別養子縁組として登録した方が、実際に子どもと関わり始めるうちに、里親という形の方が自分に合っていると感じるようになることがあります。

その変化は、弱さでも失敗でもありません。

実際に経験を積む中で、自分と子どもにとって何が大切かが見えてくる。

それは関わりが深まっているからこそ起きることです。

現場の支援者たちは、そういう変化を否定しません。

むしろ、変化を正直に話してくれる人と一緒に、次の形を考えることを大切にしています。

登録という節目は、ひとつの選択を求めます。

でもその選択は、出発点であって、終着点ではありません。

子どもと向き合いながら、支援者と話しながら、自分の気持ちの形を少しずつ確かめていく。

その余白が、現場には用意されています。


隊士 お館様管理者

藤の里における鬼倒隊を統率している者。私が初めて鬼の存在を知ったのは、ボランティアの場でした。 里親制度への無知と誤解という鬼が、日本中に蔓延していること。そのせいで、家庭で暮らせずにいる子どもたちがいること。里親になりたくても、なれずにいる人たちがいること。 その現実が、忘れられませんでした。 それからも何度もボランティアを重ねるたびに、鬼の大きさを思い知らされました。 私自身は里親経験者ではありません。 剣を持って戦える立場にはない。 だからこそ、実際に戦ってきた方々の記録を集め、次の誰かへ届ける場所を作ることが、私にできる戦いだと思いました。 藤の里は、その使命のために生まれました。 あなたの戦いの記録を、ここに刻んでください。 その呼吸を、次の世代へつないでいきましょう。

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