あなたは今、この文章を読んでいます。
ということは、すでに何かを知ってしまったのかもしれません。
施設で育つ子どもたちのこと。親に愛されることなく大人になっていく子どもたちのこと。
知ってしまったなら少しだけ、続きを読んでください。
この国で今、起きていること
日本には今、親と暮らせない子どもが約4万2千人います。
虐待、育児放棄、家庭の崩壊。様々な事情で、家族のもとを離れざるを得なかった子どもたちです。
そのうち約8割が、今も施設で生活しています。
施設の職員の方々は、懸命に働いています。
でも一人の職員が複数の子どもを担当する環境では、どうしても「自分だけを見てくれる大人」との関係を、子どもたちは持ちにくい。
特定の大人との深いつながりの中でしか、育まれないものがあります。
安心感、自己肯定感、人を信頼する力。それらは、施設という集団生活の中では、どうしても育ちにくいのです。
「知っている」と「動く」の間にある壁
社会的養護の現実を知り、胸が痛くなった方は多いはずです。
でも「自分には何もできない」「里親なんて特別な人がするもの」「うちには無理だ」と、そっとページを閉じた方も、同じくらい多いはずです。
その気持ちは、よくわかります。
知ることと、動くことの間には、大きな壁があります。
私はその壁を、無理に壊してほしいとは思いません。ただ壁の向こうに何があるか、少しだけ覗いてみてほしいのです。
「特別な人」などいません
里親になった方々と、長くお話ししてきました。
その中で、最初から「自分は里親に向いている」と確信していた人に、会ったことがありません。
みなさん、不安を抱えたまま、それでも一歩を踏み出した方たちです。
「こんな自分でいいのか」と思いながら始めた人が、今では子どもたちの大切な支えになっている。
そういう姿を、私は何度も見てきました。
準備が整ってから動ける人など、どこにもいません。動いた人が、少しずつ準備されていくのです。
あなたが動くことで、変わる未来がある
一人の子どもの人生を変えるために、あなたは完璧である必要はありません。
ただ、傍らにいてくれるだけでいい。ご飯を一緒に食べてくれるだけでいい。「おかえり」と言ってくれるだけでいい。
それだけで、一人の子どもの世界が変わることがあります。
知ってしまったあなたには、もうその力があります。あとは、扉を開けるかどうかだけです。
動かなければ、何も変わりません。でも、動けば必ず、何かが変わります。
それは、子どもの未来かもしれない。あなた自身の毎日かもしれない。あるいは、この社会そのものかもしれない。
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言の葉を届けるには入隊するか里に入る必要があります。