七年間、ユキと二人で暮らしてきた。里親になることを最初に言い出したのはユキだった

任務報告

朝食の途中だった。

カイがコップに手を伸ばしかけて、止まった。それからユキの方を見て、言った。

「ユキさん、これ取ってもらえる?」

ユキが「え、呼んだ?」と振り返った。一秒くらい、テーブルが静止した。

それからユキは「はいはい」と醤油を手渡して、また自分の味噌汁に戻った。それだけだった。

私は台所に立っていた。卵焼きを皿に移すところだった。手は動いていた。

夕方、ユキが洗濯物を畳みながら「カイ、今朝名前で呼んでくれたね」と言った。嬉しそうだった。

嬉しそうに言えるユキが、今日は少し遠かった。「そうだね」と私は言った。それ以上、何も言わなかった。

夜、日記を開いた。

今日、カイがユキさんと呼んだ。私はまだ、あの、だ。

それしか書けなかった。嫉妬じゃない、と思う。

でもそれが嫉妬じゃないなら、この胸のざらつきは何なのか。ユキが呼ばれたことは嬉しい。

本当に嬉しい。

ただ、嬉しいという気持ちの隣に、もう一つ別の気持ちが座っていて、それに名前をつけるのが怖い。

七年間、ユキと二人で暮らしてきた。里親になることを最初に言い出したのはユキだった。

私は半年悩んで、ユキの隣でようやく頷いた。あのときから、私はずっと半歩遅れている気がする。

ペンを置いて、天井を見た。

隣の部屋で、カイが寝返りを打つ音がした。

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