20代で里親になることへの迷いは、実際にやってみると杞憂だった部分も多かった。

任務報告

ニュースやテレビの特集で、親と一緒に暮らせない子どもたちの現状を取り上げているのを見たことがきっかけだった。

それまで「里親」という言葉はなんとなく聞いたことがある程度だったが、実際には家庭的な環境を必要としている子どもが多くいることを初めて知った。

インターネットで調べ、自治体の情報を読むうちに、里親にはさまざまな形があり、子どもの生活と成長を支える制度なのだと理解するようになった。

関心を持ってからも、すぐには動けなかった。子どもの背景やこれまでの経験をしっかり受け止められるのか、責任の重さを感じていた。

家族の理解が得られるか、仕事との両立ができるか、現実的な不安もあった。

情報を集め、話を聞くうちに、少しずつ具体的に考えられるようになった。

家族とも話し合いを重ね、「できる範囲で子どもの成長を支えたい」という気持ちが言葉になっていった。

そして思い切って、一歩を踏み出した。

子どもが来た最初の頃、お互いに緊張していた。

子どもは環境の変化に戸惑っているようで、あまり言葉を発さず、距離を取っている様子があった。

こちらもどう接すれば安心してもらえるのか分からないまま、気を遣いながら様子を見る日々だった。

まずは安心して過ごせる場所だと感じてもらうことを意識した。生活のリズムやルールも少しずつ伝えながら、焦らずに時間をかけた。

時間が経つにつれて、少しずつ表情が出てきて、会話も増えていった。

最もしんどかったのは、子どもがなかなか気持ちを言葉にできず、どう接すればいいか分からなくなったときだった。

ある日、学校から帰ってきた後、急に機嫌が悪くなった。声をかけても部屋にこもってしまった。

何かあったのだとは分かる。しかし無理に聞くのがいいのか、そっとしておくべきなのか、判断できなかった。

子どものこれまでの経験を思うと、気持ちを簡単に話せないことも理解できる。

それでも、どう支えればいいのか分からないまま時間が過ぎていくことは、想像以上にこたえた。

答えは出なかった。ただ、焦らず待つことが、そのときできる唯一のことだった。

変化は静かにやってきた。

ある日、子どもの方から学校での出来事を話してくれた。今日あったことや、感じたことをぽつぽつと。

それまでは必要なこと以外あまり話さず、どこか距離があるように感じていただけに、その言葉が嬉しかった。

特別な出来事ではなかった。日常の中で自然に会話が生まれた、それだけのことだ。

しかしその瞬間に、少しずつ信頼関係ができてきたのだと実感した。

周囲への説明は、特にしなかった。それぞれの家庭の判断があっていい。

どこまで話すかは、子どものプライバシーを守ることを軸に考えることが一つの基準になると思う。

里親を考えている人に伝えたいのは、「完璧でなくても大丈夫」ということだ。

最初は不安や迷いが多く、本当に自分たちにできるのか悩んだ。

子どもの気持ちを理解することも、信頼関係を築くことも、簡単ではなかった。

それでも、特別なことをするというより、日々の生活の中で安心できる場所をつくり、少しずつ関係を育てていくことが大切だと感じている。

里親になる前の自分に一言かけるとしたら、「考えすぎなくて大丈夫!」と言いたい。

20代で里親になることへの迷いは、実際にやってみると杞憂だった部分も多かった。

年齢よりも、目の前の子どもと向き合う気持ちの方がずっと大事だと、今は思っている。

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